三曲の一員、箏の役割は?

では、三曲の2つ目の楽器として「箏」を取り上げてみましょう。

箏は、三曲の中では、伴奏としても独奏としても使われます。

 

たとえば、《六段の調》はもともと箏のために作られた独奏曲と言えるので、箏独奏で演奏される機会が多いと思います。三曲の場合は、合奏が好まれるので、箏2面だったり、尺八や三味線が加わることも珍しくはないのですが。

 

また、合奏の中で伴奏というと言い過ぎですが、副次的に扱われることもあります。たとえば、地歌の《八重衣》は、もともと地歌の三味線と声のために作られましたが、三味線や箏の旋律を合わせることで精緻な合奏が成立します。

この場合、付加された三味線や箏の旋律は、副次的な立場になりますが、実際には、元の旋律よりも華やかな装飾がついていることもあり、音楽的には単に付加的なパートとは言えない、不可欠で大切なパートになっているのです。